『ガイアシンフォニー第三番』上映会 8月14日(土)国分寺いずみホール

ナイノア・トンプソン

ハワイ先住民族、カヌー航海者

【撮影】 
1997年2月15日~3月1日 
ハワイ・オアフ島、ハワイ島

【プロフィール】
1953年、ハワイ生まれ、ハワイ在住。
20世紀末の今、世界各地で従来の歴史観を覆すような考古学的発見が相次いでいる。例えば青森県三内丸山の縄文遺跡の発見は、五千年以上前に我々の祖先がどれほど高度な文明を持っていたかをはっきりと示した。さらにここで発掘された土器とルーツを同じくする土器が、ポリネシアの小さな島でも発見されている。五千年前にすでに人々は、太平洋を航海する術を知っていた可能性があるのだ。
1980年ナイノア・トンプソンは、海図、羅針盤、磁石などの一切の近代器具を使わず、伝統に基づいて復元された古代の遠洋航海カヌーを駆って、星を読み、波や風を感じ、海の自然が与えてくれるサイン(情報)だけを使って、ハワイからタヒチまで五千キロの海の旅を成しとげた。
この旅を通してナイノアは、数千年前に南太平洋のポリネシア諸島からハワイにやって来た祖先たちが、すでにこんなにも高度な技術的、精神的文明を持っていたことを証明すると共に、20世紀に生きる私達の中にも祖先と同じ能力が眠っていて、それを蘇らせることが出来ることを示したのだ。この彼の航海は、ハワイの先住民の人々に、大きな勇気と誇りを与え、自然の営みと調和しながら生きてきた祖先の高度な文明のあり方を学びなおそうとする運動が、次々に自然発生的に起こって来ている。
この彼の営みは単なる懐古趣味ではない。自然との調和を失っている私達の技術文明の方向を正しい方向に修正してゆくためには、21世紀を生きる人々が、自分達の内側の自然と調和する能力を高める必要があるのだ。そのためナイノアは今、古代からの知恵を次世代の子供達に伝える教育プロジェクトに一番力をそそいでいる。
はるか彼方「見えない島を、見る力」を養うことこそ、21世紀を生きる子供達にとって必要なことだとナイノアは信じている。

(※地球交響曲公式ガイド・第三番出演者紹介より)

参考資料:
“An Ocean Mind” Will Kyselka(University of Hawaii)
“Voyage of Rediscovery” Ben Finney(University of Hawaii)
「ハワイイ紀行」(池澤夏樹 新潮社)