『ガイアシンフォニー第三番』上映会 8月14日(土)国分寺いずみホール

星野道夫(故人)

写真家、エッセイスト

星野道夫【撮影】
1996年9月7日~11日 
アラスカ・フェアバンクスで星野道夫メモリアルに参加
1996年9月20日~10月7日 
アラスカ、カナダ・クイーンシャーロット島 
1997年3月27日~4月10日 アラスカ各地

【プロフィール】
1952年、日本生まれ。
1996年9月に共にアラスカの大自然を旅しようと計画していた星野道夫が、8月8日、ロシアのカムチャッカで、ブラウン・ベアに襲われてなくなった。(日本のテレビ番組のための撮影中のことだった。)アラスカに移り住んで20年、マイナス40度の氷河地帯にたったひとりで一ヶ月半もキャンプを張り、天空の音楽、“オーロラ”の写真を撮り、何万年もの間この極北の地で続けられている、鯨、狼、熊、カリブーなど動物たちの営みを撮り続けてきた彼の写真はすでに世界的に高い評価を受けていた。彼の眼差しの中に、個体の死を越え、種の違いを越えて連綿と続く、大いなる命、悠久の命への畏怖と愛があったからだ。その彼の眼差しが最近はこの極北の地に生き続ける人々に注がれるようになっていた。ネイティブの古老達が語り伝える神話の中には、人間が宇宙的スケールで動いている大自然の営みと調和して生きてゆくための様々な叡智が秘められている。
その事に気づいた星野は、20世紀末の技術文明の中に生きる私達が、そこから何を学び、未来の世代に何を伝えてゆくべきかを探す旅を始めていた。
「アラスカが今後どうなってゆくかは、20世紀末に残された人類の最後の期末試験のような気がする」というのが星野の口癖だった。星野の“死”はこの旅を不可能にするかに見えた。しかし、そうではなかった。9月末に敢行したアラスカの“旅”で、私達は出会う全ての人々の中に鮮烈に生き続けている星野の “魂”に出会った。
彼の“死”をネガティブに受け止めている人は誰もいなかった。いやむしろ、“死”を通 して彼は、生き続けている私達が、今何に気づき、未来の世代に何を伝えてゆくべきかを、さらに明確にわかりやすく示してくれたのだ。
この旅は、しばらく続くだろう。

(※地球交響曲公式ガイド・第三番出演者紹介より)

著作・写真集:
「グリズリー」(平凡社)、「アラスカ 極北・生命の地図」(朝日新聞社)、「Alaska 風のような物語」(小学館)、「イニュニック」(新潮社)、「アークティック・オデッセイ」(新潮社)、「アラスカ・光と風」(福音館書店)、「旅をする木」(文藝春秋)、「ナヌークの贈りもの」(小学館)、「森と氷河と鯨」(世界文化社)、「ノーザンライツ」(新潮社)、「表現者」(スイッチ)