『地球交響曲第四番』(2001年)
<small>(C)Jin Tatsumura Office, Inc. </small>21世紀は、人類のあらゆる営みの基盤にやわらかな“霊性”(スピリチュアリティ)が求められる時代になって来ると思います。
教育、文化、芸術の分野ではもちろんのこと、従来は“霊性”とは縁遠いと思われていた政治、経済、科学などの分野でも、それが最重要な課題になってくると思うのです。
なぜなら、“霊性”を持たない人類の営みが、我々人類だけでなく、この地球の全生命の未来を危うくしていることに、もう誰もが気づき始めているからです。
“霊性”とは、私たちひとりひとりが、日々の何気ない営みの中で、「自分は、母なる星地球(ガイア)の大きな生命の一部分として、今ここに生かされている。」ということを、リアルに実感できる、その力のことをいうのです。
自分の内なる“霊性”に目覚めることによって、人は謙虚になります。
日々の出来事に対して、感謝の気持ちを持って対処できるようになります。
自分以外の生命のことを、本気で考え、行動し、祈る、ことができるようになります。
遠い未来を想い、遙かな過去を感じる力だって増してくるでしょう。
見えないものを見る力、聴こえない音を聴く力だって甦ってくるかもしれません。
そしてそのことが、結局、自分自身を最も幸せにするのだ、ということに気づき始めるのです。内なる”霊性”に目覚めるのに、必ずしも旧来の宗教が必要だとは思いません。
21世紀に生まれ、育つ子どもたちにとって、“霊性”に目覚める道は無限にあります。
科学、芸術、スポーツ、教育、経済、政治・・・・、
100人の人がいれば、100通りの道がある、というのがこれからの時代でしょう。
ただ、確認しておかなければならない大切なことが、いくつがあると思います。
まず第一は、「全ての人の中に“霊性”の芽が必ずある」ということへの揺るぎない信頼です。この信頼があってこそ、“霊性”に目覚める無限の道が開けるのです。
そしてもう一つは、「この“霊性”の芽は、育まなければ開花しない」ということです。
“霊性”と“自我”は同じ力の裏と表です。人間に与えられた最大の特性です。
放っておけば「自分さえ幸せであればよい」という方向に向かう力です。
だからこそ、“育む”ことが必要なのです。
ただ、その為に簡単なマニュアルはないでしょう。
なぜなら、“霊性”は究極的には、ひとりひとりが、自分自身の力で、自分自身のやり方で開花させてゆくものだからです。
だとすれば、21世紀に生まれ育つ子どもたちのために、今の私たちに何ができるでしょうか。私は「地球交響曲」という映画を通して、世界の何人かの人々の生き方、考え方を提示し続けたいと思っています。
彼らの生き様が、子どもたちの“霊性”を育むのに役立つか否かはわかりません。 ただ、「子どもたちの中に必ず存在する、内なる”霊性”を激励する」という強い想いを持って、この映画を作り続けます。
必ずしも、直接子どもたちに語りかける、という手法はとりません。
なぜなら、子どもたちの“霊性”を育むのは、映画そのものではなく、子どもたちの日常に直接触れている大人たちの中の“霊性”であるからです。
このようなビジョンをもって、21世紀最初の「地球交響曲第4番」に 次の4人を提案します。
出演
ジェームズ・ラブロック/名嘉 睦稔/ジェーン・グドール/ジェリー・ロペス
声の出演
内田 稔(ジェームズ・ラブロック)/榊原良子(ジェーン・グドール)
時任三郎(ジェリー・ロペス)
ナレーター:木内みどり/榎木 孝明
監督:龍村 仁
( ※ 龍村 仁 監督『地球交響曲』公式サイトより)